
琉球神話(りゅうきゅうしんわ)は、とても奥深くて、美しい伝承がたくさんあります。
できるだけ分かりやすく、でも詳しく紹介しよう。
■ 琉球神話とは?
琉球神話は、沖縄を中心とする琉球諸島で伝わってきた神話の体系で、自然・祖先・神々への深い敬意を背景にしている。
日本本土の神話(『古事記』『日本書紀』など)とはかなり雰囲気が違い、海や自然、母系社会(女性を中心とする社会)が強く反映されているのが特徴。
琉球神話は、特に次の2つの文献に集約されている。
- 『おもろさうし(おもろ奏詞)』
→ 古代琉球の歌謡をまとめたもの(16〜17世紀) - 『中山世鑑(ちゅうざんせいかん)』
→ 1650年に書かれた琉球最初の歴史書
この2つに、古い神話や伝承が多く記録されています。
■ 代表的な琉球神話
アマミキヨとシネリキヨ(創世神話)
琉球神話で最も有名な神様が、
アマミキヨ(アマミチュー)とシネリキヨ(シネリチュー)です。
- アマミキヨは、天から降りてきた創造神。
- シネリキヨは、アマミキヨの伴侶とされる存在。
2人は、天帝(天の神様)から命じられて、琉球の島々を創造し、人間社会(国)を作ったとされます。
アマミキヨが造ったとされる場所は今も残っていて、
- 久高島(くだかじま)
→ 「神の島」と呼ばれる聖地 - 斎場御嶽(せーふぁうたき)
→ アマミキヨが作った最初の御嶽(聖なる拝所)
などが有名です。
※御嶽(うたき)=神が降り立つ場所、村の聖地
ニライカナイ(海の彼方の楽園)
琉球には、「ニライカナイ」という特別な言葉・概念がある。
- ニライカナイは、豊穣と命をもたらす、海のかなたの神の国。
- そこから、神々や豊作、幸福がやってくると信じられていた。
祭りや祈り(例:ニライカナイ祭)では、海の方向を向いて、神々の到来を祈る。
現世とニライカナイは、海によってつながっていると考えられていた。
女性神官(ノロ)とおばあの力
琉球神話では、女性の力がとても強いのが特徴。
- ノロ(祝女)
→ 村や王国の祭祀を取り仕切る女性の神官。アマミキヨの血を引くとされる。
また、普通の村でも、おばあたち(年長の女性たち)が神と人間をつなぐ役割を担いた。
これは、母系社会(女性中心の社会)の文化が古代琉球でとても重視されていたことを示しています。
天孫降臨伝説(天から降りた王族)
沖縄にも、日本神話に似た「天孫降臨(てんそんこうりん)」の伝説がある。
- 天の神の子孫が地上に降りてきて、琉球の王となった。
- その初代王が「舜天(しゅんてん)」とされ、実在の歴史にもつながっている。
これは、王家の正統性(天の神の血を引いている)を示すための伝説でもあった。
■ まとめ
テーマ | 内容 |
---|---|
創世神話 | アマミキヨとシネリキヨが島と国を作った |
楽園思想 | ニライカナイから豊穣と幸福が来る |
女性の神官 | ノロやおばあたちが祈りを司った |
王家伝説 | 天の神の血を引く王族の伝承 |
琉球神話は、ただの「神話」ではなく、暮らし、自然、信仰、政治、すべてが一体になったもの。だから、沖縄の文化や考え方を知るうえで、ものすごく大切な部分である。
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